2016/10/14

『幕末! 疾風伝』天野純希 感想

幕末! 疾風伝
幕末! 疾風伝
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天野 純希
中央公論新社
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オリジナル主人公の視点からの幕末物。
主人公である松浦佐太郎は誰かモチーフがいそうでしたが、
ざっと調べた感じでは見当たりませんでした。

話としては幕末の大まかな流れを追って行くわけですが、
何の取り得もない平凡な主人公視点ということもあって
歴史の大波に振り回されている感が凄かったです。

まずモテたいから志士になるという動機の小者っぷりがいい。
明治維新という日本史の一大イベントに
当時こんな動機で首を突っ込んだ貧乏侍は多かったのかも。
もちろんそのまま命を落とした人も多いでしょうけど。

佐太郎の成長っぷりもちょうどいい感じですね。
最初は剣も学問もダメダメだったものの、
何度も修羅場をくぐり抜けるうちにそこそこの剣士になり、
しかし本物の一流には歯が立たないという、
なんというかそこらにいそうな感じが共感しやすいです。

高杉晋作や坂本竜馬、木戸孝允といった大物と関わりつつも
歴史を変えるほどの影響がないというのもちょうどいい。
自分の目の前を次々と英雄が駆け抜けていくという感覚は
一般人目線だからこそ表現できるものではないかと。
そんな彼が最終的に辿り着いたのが大きな夢ではなく
小さな人間としての主張だったというのも一貫しています。

決して大きな働きをしたわけではないものの、
最初から最後まで精一杯走り続ける爽快感の残る作品でした。