2016/06/08

『見えざる網』伊兼源太郎 感想

見えざる網 (角川文庫)
伊兼 源太郎
KADOKAWA/角川書店 (2015-09-24)
売り上げランキング: 588,456

横溝正史ミステリ大賞受賞作。

前半はかなり面白い。
SNSを題材にしたサスペンス風の導入なのですが、
自分の情報がネットで漏れて不特定多数から
命を狙われるという怖さがじわじわと迫ってきます。

最初は偶然っぽい仕掛けも多くて、気をつけていれば
何とか回避できるようにも感じられるのですが、
中盤辺りで自分の周りの人物に犠牲者が出始めると、
本当に追い詰められているような緊迫感が出てきます。
相手がネットに踊らされた不特定多数ということもあって
こちらから反撃出来る気がしないというのも大きいでしょう。

ただ、これだけ絶望感を煽っておきながら、
最後は分かりやすい黒幕が出てきて自分の狙いを語って
死んでしまうという定番展開になったのは惜しかったです。
黒幕と主人公の関係や事件を起こした動機などは
一昔前のラノベの黒幕そのまんまという感じで、
前半期待した人ほど肩透かしを食らうのではないかと。

個人的には黒幕と主人公の関係は好きなんですよ
対となる存在で憎しみよりも友情が強い関係というか。
ただ、前半が社会派サスペンスとしてよく出来ていたのに
結末は青春小説風だったせいで食い合わせが悪いんですよね。
選評では口を揃えて後半が叩かれていたのも分かります。
ただ、SNSを使ったサスペンスと、主人公と黒幕の関係という
個々のパーツ単位で見ると悪くなかったと思うので、
次回作ではそこら辺を統一した話を読みたいところです。