手を出したものの感想を書き溜める場所
『かまさん』門井慶喜 感想
かまさん
かまさん
posted with amazlet at 15.07.10
門井慶喜
祥伝社
売り上げランキング: 799,356

榎本釜次郎(武揚)を主人公に函館戦争を描いた歴史小説。
戊辰戦争を題材にした小説は数多くありますが、
箱館戦争を題材にした小説ははじめて見た気がします。

歴史小説には史実を詳しく書いたものも少なくないですが、
この小説は釜次郎という人物の彫り下げを重視しています。
自分としては知らなかった知識を得るのも好きですが、
人物をゴリゴリ掘り下げるのはそれ以上に好きなんですよね。

徳川慶喜にしろ榎本釜次郎にしろ敗軍の将というだけあって
いい描写がされることは少ないような気がしますが、
この作品では比較的好意的な見方をしています。
特に釜次郎の本当の目的については詳しく描写されていたので
彼の決起から降伏までの心情が分かりやすかったです。

史実から見ても分かるように釜次郎の考えはかなり甘く
蝦夷共和国は一応成立こそしたものの
政治的には軍事的にもあっという間に限界を迎えるのですが、
北海道を独立させるという夢には胸が熱くなりましたし、
最後の身の引き方も清々しいものでした。
決して大人物ではないのですが、愛嬌に溢れてて
人間的な魅力のある主人公だったと思います。

しかし当時最強を誇った艦隊が戦わずして座礁や暴風雨で
あっという間に崩壊していく流れはコメディですね。
アニメや小説でこんな展開があったら
めちゃくちゃ叩かれそうなもんですけど、
これが現実なんだからやっぱり現実って怖過ぎる。
開陽出撃シーンなんか止めたくて仕方なかったですよ…。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学