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『列島融解』濱嘉之 感想
列島融解 (講談社文庫)
濱 嘉之
講談社 (2013-03-15)
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主人公である若手議員・小川は電力会社から
政治家に転進したという経歴の持ち主。
彼を中心に大震災以降のエネルギー政策について
改めて考えていくというのが本作の基本的な流れです。

主人公の古巣が東電っぽい企業というだけあって
原子力政策に対して比較的冷静な視点なのは面白い。
安全性だけでなく経済性や今後の技術革新まで踏まえて
今出来るエネルギー政策を考えていくという方向ですね。
地の文から台詞まで説明ばかりの作品なのですが、
噛み砕いているので予備知識なしでも分かりやすいです。

ただ、全体的にご都合主義を強く感じる面もありました。
この作品、最初から最後まで主人公に敵なし状態ですけど、
今のマスコミや世論の状況を見ると例え正論だとしても
原発続投を主張すると支持を得るのは難しそう。
政策を考えるよりも実際支持を得る方が難しそうですが、
そこはさらっと流されてしまったのが残念です。

中国への技術流出問題も面白かったんですけど、
エネルギー問題という主軸からはちょっとズレたかな。
エネルギー問題が与える広範囲の影響を書こうとして
作品自体もちょっと散漫になってしまった感があります。

エネルギー問題に焦点を絞って小川サイドだけでなく
いくつかの対案を戦わせるような作品にすれば
もう少し掘り下げられたかもしれませんね。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学