手を出したものの感想を書き溜める場所
『梟の系譜 宇喜多四代』上田秀人 感想
梟の系譜 宇喜多四代
梟の系譜 宇喜多四代
posted with amazlet at 15.07.03
上田 秀人
講談社
売り上げランキング: 83,130

謀将として名高い宇喜多直家を主人公にした時代小説。
サブタイトルには宇喜多四代とありますが、
実際には3代目の直家の物語と思った方が良いかと。

幼少期に実家が滅ぼされてから貧困に耐え、
仇の懐に飛び込んで最終的にはお家を再興する。
そう書くとおとぎ話の立身出世物のように見えますが
その手段が騙し討ちばかりというのがこの人物の面白さ。
時には弱みにつけ込み時には姻戚関係を結んで
相手が油断したところで後ろから斬り付ける。
この汚さこそ謀将の一番の魅力と言えるでしょう。

それでいて身内への情が深いところは不思議。
敵への容赦なさと身内への優しさを見るに
物凄くはっきりとした基準のある人だったのか。
娘に対してだけ妙に扱いが雑だったのは
自分が母親の愛情を受けられなかったせいで
女性不審になっていたという分析はちとありがちかも。

直家の波乱万丈な物語としては面白かったですが、
雰囲気が淡白で話がサクサク進むのは
直家以外の描写があっさりしているからか。
せめて宿敵である浦上宗景ぐらいは
もっと濃い描写があった方が盛り上がったかもしれません。
幼少期から付き合いのある弥吉にしても
後半に行くにつれて影が薄くなるのが残念でした。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学