2015/06/25

『冥福――日々のオバケ』牧野修 感想

冥福――日々のオバケ
牧野 修
光文社
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様々なオバケたちを題材にした短編連作集。
牧野さんといえばドロドロした話を書くことも多いですが、
今回の短編集は暖かい人情物になっています。

収録されている6本の短編で扱われているオバケは
それぞれ父親、親友、幼女、猫、師弟、叔母という感じで
なかなかバリエーション豊かな布陣ですね。
父親と叔母の話は家族の絆物の定番という感じですが、
どちらもほっこりさせる内容になっているので
これを最初と最後に持ってきたのは手堅い構成ですね。

親友の話は最後に悲劇が待っている青春物…
と見せかけてオチが酷い。ホント酷い。
いやオチまでが正統派青春物だったからこそですが。
逆に幼女の話は正統派ホラー物っぽい流れ。
ちょっと怖いけどしんみり終わる昔話に近い展開です。

猫の話は猫が探偵役をするミステリー風短編。
喋る猫ってパートナーとしては理想過ぎますね。
猫さえいれば結婚しないって人が激増する予感がある。
オバケ師弟の話はオバケたちが協力して
人を怖がらせるというコメディたっちな作品。
オバケの怖がらせ方が妙に論理的なのが新鮮でした。

オバケものには付き物な最後の別れ(成仏)ですが、
それについてもワンパターンではなく
様々なオチを用意していたので飽きなかったです。
しんみりする場面もありますが、基本的には前向きで
明るい読後感の残る、オバケ物らしからぬ作品でした。