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『月光蝶―NCIS特別捜査官』月原渉 感想
月光蝶―NCIS特別捜査官月光蝶―NCIS特別捜査官
(2013/04)
月原 渉

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月光蝶といえばターンAを思い浮かべてしまいますが、
もちろん本作とガンダムとは何の関係もなく、
実際は横須賀米軍基地を舞台に起こった殺人事件という
一風変わった設定のミステリー小説となっています。

米軍基地というアメリカ領を舞台に選んだだけあって、
その特殊な土地柄については詳しく描写されていますね。
基地問題といえば普段は沖縄ばかりが話題になりますし、
実際こちらは沖縄と比べると平和なもんですが、
それでも現地住民との摩擦があるのは確かなわけで。
米軍が事件の起こした際の米軍、警察、市役所の
縄張り争いはこういう地域特有の複雑さがあります。
進入不可能な基地を巨大な密室として機能させるという
アイディアもなかなか豪快で面白かったです。

ただ、犯人の正体については容疑から省こうとし過ぎて
逆に怪しくなってしまっている気がしました。
登場人物で意外な犯人にするならこいつだろ、的な。
犯行の動機やその根源にある原因は珍しかったですが、
参考資料にあった『虐殺器官』と比べるとあっさりですし、
犯人追求シーンの盛り上がりにも欠けた印象です。
ラストにドンデン返しもあるにはあるんですけど、
話の構造に凝ろうとして滑ってしまった感があります。
基地問題を珍しい切り口で見せた社会派小説としては興味深く、
ミステリーとしては結末がいまいちという感じですかね。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学