2014/11/13

『ハードラック』薬丸岳 感想

ハードラックハードラック
(2011/09/28)
薬丸 岳

商品詳細を見る

正にハードラックとダンスっちまったような小説。

主人公である相沢仁は会社をクビになり
日雇い派遣の仕事もクビになって明日をも知れぬ身。
しかもそんな状態から更に詐欺師に騙されて
ついに切れてしまった彼は闇サイトで仲間を募り
大きな仕事、つまり押し込み強盗に走ってしまいます。

とはいえ、そんな行き当たりばったりの行動が
上手く行くはずもなく、今度は殺人の罪を擦り付けられ
冤罪を晴らすため四苦八苦するというのがこの物語。

主人公たちが警察の包囲網から逃れつつ真犯人へと
近付いていく流れはなかなか緊張感があって楽しめます。
真相に近付いたと思ったら空振りさせられる
フェイクの入れ方なんかもしっかり計算されていますし、
話の筋自体は綺麗に纏まっている優等生的な作品かと。

ただ、キャラに関してはちょっと引っかかる面も。
話の展開自体には緊張感があったのですが、
主人公が良くも悪くも人の良い性格だったせいで
なりふり構わず、とまでは行かないこともあって
追い詰められている感が薄れてしまった気がします。
酒名の渾名やセリフ回しも少し滑っています。

どこまでも落ちていくような重い小説ではないおかげで
とっつきやすくなっている面はあるのですが、
かといってハッピーエンドとも言えないせいで
なんだかもやっとした読後感が残ってしまいました。
でもラストの母親のセリフは胸に来ましたね…。