手を出したものの感想を書き溜める場所
『戊辰繚乱』天野純希 感想
戊辰繚乱戊辰繚乱
(2013/03)
天野 純希

商品詳細を見る

会津藩士であり新撰組にも所属していた山浦鉄四郎の物語。
自分はこの山浦鉄四郎という人物を知らなかったのですが、
その波乱万丈な人生には楽しませていただきました。

この作品の鉄四郎は平凡な人物として描かれていて、
そんな彼を引っ張っていくのが中野竹子という女性です。
こちらの女性も知らなかったのですが、調べてみると
会津で散った代表的な女性として有名な人らしい。

鉄四郎は最初、強気な竹子に対して押されているものの、
そのうち恋愛感情を抱くようになって…という流れは定番。
しかし史実で鉄四郎と結婚したのは竹子の妹の優子。
もうこの設定だけでドラマチックな展開が想像できます。
ここら辺、史実を上手くアレンジしてると思います。

この作品のもう一つの見どころは鉄四郎の変化ですね。
昔は弱気で頼りなかった鉄四郎が新撰組に所属して
戦い続けるうちにどんどん好戦的になっていく描写は
何ともいえない怖さと寂しさを感じさせられます。
この時代の戦うしかなかった者の悲哀といいましょうか。
この時代を全力で駆け抜けたはずなのに、
残ったのは廃墟と虚しさだけというのが切ない。

天野さんの作品の中ではハッピーエンド寄りですが、
それでも諸手を挙げてといかないのは天野さんらしさか。
とはいえ、満足度の高い作品だったことは確かです。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学