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『こちら警視庁美術犯罪捜査班』門井慶喜 感想
こちら警視庁美術犯罪捜査班こちら警視庁美術犯罪捜査班
(2013/10/18)
門井 慶喜

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芸術系ミステリーを数多く門井さんの短編集。
今回は美術犯罪専門の刑事たちが主人公です。

タイトルだけ見て贋作を売りつける詐欺の話なのかと
思っていたのですが、そう簡単な話じゃありませんでした。
一言に贋作と言っても千差万別。
最初からコピー品として売っている場合なんかは
それなりの値段で売っても詐欺として立証しにくく、
買う側にも見る目が問われるというのは面白いですね。

贋作の作り方についての薀蓄も読んでて楽しいです。
キリコという名前だけは前から知っていたのですが
自分の贋作を自分で作りまくる画家とは知りませんでした。
いやもうこうなると真作も贋作もないですね。
よくわかる古びた仏像の作り方も興味深い。
化学鑑定の簡単な騙し方はとんちみたいなもんですね。

あとは美術には付き物の命題ですが、
真作とその完璧なコピー品の価値の比較。
普段は真作の方が上だと割り切っていますが、
改めて考え出すと泥沼に嵌ってしまうんだよなぁ。
こういった曖昧なところが芸術の魅力でもあるのですが。
突き詰めていくなら、自分にとって好きなものなら
それでいいじゃんってことなんですけど、
社会的価値を求めてしまうのが人の業なんでしょうね。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学