2014/10/03

『島津は屈せず』近衛龍春 感想

島津は屈せず島津は屈せず
(2011/05/28)
近衛 龍春

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島津の退き口が有名過ぎる島津義弘を中心に
義久、忠恒を絡めて島津家の権力争いを描いた歴史小説。

結構分厚い上に上下二段書きなので読むのには
時間がかかりますが、状況説明や登場人物の名前を
ずらっと並べている部分も多いので水増しされた感も。
とはいえ、秀吉の島津攻めから関ヶ原の戦いの
後始末までという短い期間を描写するために
500ページもの枚数をかけていることもあって、
詳しさという点ではかなりのものだったと思います。

義弘といえば勇猛果敢なイメージですが、
この本では当主である義久の部下でありながら
次期当主である忠恒の実父という立場が強調されていて、
苦労性の政治家としての印象が強かったですね。
秀吉に敗れてからは秀吉に擦り寄って島津領を
維持しようと動くものの、逆に秀吉を恨む義久からは
冷たく当たられ、まともに軍勢を送ってもらえない。
島津軍さえ揃えば関ヶ原でも勝てた、というのは
流石に言い過ぎですが、島津軍が東軍を押しまくって
それを見た小早川も西軍について~などといった
妄想を楽しむのは後世の人間の特権でしょう。

この作品では義弘が主人公ということもあって
義久は義弘と敵対する立場で描写されていますが、
結果的には義久と義弘が対立していたおかげで
関ヶ原では微妙な活躍になったという面はあるものの、
だからこそ家康と決定的に敵対せずに済んだ面もあり。
関ヶ原での島津勢の態度は、まさにこの当時の
島津家の内情を現していたのかもしれません。

朝鮮侵攻や関ヶ原などの戦の描写も多いのですが、
それ以上に一族でのお家騒動の比重が多く、
島津家のゴタゴタを改めて知ることの出来る作品でした。