2014/08/09

『ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓』福田和代 感想

ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓
(2012/08/01)
福田 和代

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新興住宅地を舞台に、冴えない女刑事が現代社会特有の
新しいタイプの事件に挑んでいくという内容の短編集。

主人公である梓刑事は阪神大震災を経験しているものの、
それ以外は特には強い個性があるというわけでもなく、
真面目でちょっとトロ臭いところのある人のいいお姉ちゃん。
事件が起こると「なんでだろう」ということが気になって
ついつい深入りしてしまうのはいいのか悪いのか。

それぞれの短編で扱っているのは育児放棄、孤独死、
ママ友、ストーカー、震災詐欺というような感じで、
最近の報道でもよく目にするテーマを掘り下げています。
どの事件も重大事件というには平和なものですが、
身近で起こりそうなものばかりで理解はしやすいですね。

5つのお題に対して共通しているのは人と人との繋がり方。
生活に追い詰められて子供から逃げ出した母親。
借金取りから家族を守るために独り身になった老人。
ブランド幼稚園での保護者同士の関係。
面と向かって人と喋れずストーキングしかできない若者。
家族に頼るぐらいなら刑務所に入るという貧困者。
どれもどこかで見たような話ですが、
こうして物語としてきっちり見せられると
ちょっと手を貸してあげればどうにでもなりそうなのに
それがなかなか難しいという実感がわいて来ます。

こういうところをフォローしていたのが
ご近所の繋がりや友人、家族なんでしょうけど
今の世の中にそういうのを求めるのも時代遅れなのかな。
最近ではLINE虐め問題なんかも話題になっていますけど、
本来ならこういうのを制御すべき大人たちの大半が
これらの問題についていけてない感もあり。
かく言う自分もLINEはやってないですしねー。
社会の自浄作用について一度皆でがっつりと
考えるべき時代になりつつあるのかもしれません。