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『あげくの果て』曽根圭介 感想
あげくの果てあげくの果て
(2008/10/25)
曽根 圭介

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何とも言えない読後感の残る3本の短編を収録した短編集。
最初の『熱帯夜』は普通のサスペンス気味なのに対して
他の2本はホラーという構成なのはバランスが悪いか。
とはいえ、話自体はどれも面白かったです。
このネチャッとした表紙も結構好きかも。

『熱帯夜』は借金取りが催促するシーンから開始。
催促するのがバリバリのヤクザということもあって
これからハードボイルドな展開かと思いきや…。
話の構成が結構複雑になっていますが、
このおかげで読み返して納得する楽しみもあり。
これを後味が良いとするか悪いとするか微妙ですが、
自分としては後の2作よりはマシだったかなと。

『あげくの果て』は歪んだ高齢者化社会の話。
国は医療費補助を削減するために病気がちな高齢者を
「出征」させてひっそり始末するようになり、
一方、高齢者たちは自分たちが虐待されているとして
無差別自爆テロを繰り返すという凄まじい世界観。
こんな世界、丁寧に描写するだけで面白いから困ります。

『最後の言い訳』もこれまた悪趣味な設定。
一度死んで蘇った蘇生者が普通に存在する世界。
ゾンビと異なるのは蘇生者が生前の記憶を持っていること。
こうなると人権があるのかないのかもう分かりません。
しかし蘇生者の好物は人間の肉、ということは…。
ロクでもない結末になるのは目に見えていますね。
最後の凄くシンプルな一行にゾクリとさせられました。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学