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『関ヶ原』岡田秀文 感想
関ヶ原関ヶ原
(2013/07/17)
岡田 秀文

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歴史小説では定番のテーマである関ヶ原。
この小説もその関ヶ原をテーマにしているだけあって
大まかな話の流れには目新しい物はありません。
しかしその定番の流れが出来ていくまでの描写が新鮮でした。

この小説の一番の特徴は登場人物の見通しの甘さ。
三成が戦に勝てると思っているのはよくある設定ですが、
家康は家康で三成が挙兵するとは思っていなかったせいで
どう対応したものか右往左往しているのが非常に面白いです。

しかし考えてみればそれも当然。
諸大名の軍勢を率いて余裕の上杉討伐のつもりだったのが
突如豊臣家から宣戦布告を突きつけられたわけですし、
大阪へ攻め上るか、関東で籠城するかだけでも難しい判断。
この段階では毛利や上杉を中心とした豊臣勢力は健在ですし、
まともに戦わずに自領で持久戦という考えも一理ある。

そこから福島を中心とした豊臣子飼いの大名たちの旗幟や
吉川、小早川の内通が判明したりするんですけど、
これがこれで信用できるか非常に怪しいと来ています。
そもそも裏切りを考えるような相手を信用できるのか…。
というような疑心暗鬼っぷりがまた楽しいんですよね。

三成は三成で大事を企む割には対人関係が凄く雑ですし、
豊臣を守ろうとする北政所の動きも全てが後手。
どいつもこいつもバタバタ慌しく動き回った挙句に
グダグダな流れで関ヶ原に辿り着くというのがこの作品。
こういう書かれ方をすると天下分け目の大合戦も
身近なドタバタコメディに見えてくるから面白いです。
案外、史実の関が原の合戦もこんな流れだったのかも?

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学