2014/05/21

『デッド・リミット』遠藤武文 感想

デッド・リミットデッド・リミット
(2011/09/26)
遠藤 武文

商品詳細を見る

息子を誘拐された母親。
権力欲に囚われた女性教師。
ブラック企業に勤める青年。
借金塗れの刑事。
ショッピングモールの店長。

以上の5人の視点から語られる連作小説です。

まず最初は息子が誘拐されパニックに陥る
母親が主人公なのですが、これがもう
見苦しいほどオタオタしているのが面白い。
いや、面白いというと不謹慎なのですが、
自分でもこれぐらい焦りまくるだろうなぁと
苦笑いしつつ頷きながら読んでいました。
人間、パニックに陥ると意味不明な行動を
取ってしまうのは仕方ないでしょう。

この母親の短編でちょこちょこと出てくる
脇役たちが、他の短編で主人公を担うという
連作集では定番の構成になっているのですが、
どいつもこいつも物凄く焦りまくります。
キャラクターの焦りから来る強引な行動が
この小説の売りではあるのですが、
後に行くほどデタラメになっていくので
ついていけない人がいてもおかしくないかも。

自分としては5章の流れが色々と無茶過ぎて
そういう小説だと分かってても辛かった。
でも最大の投げっぱなし要素であるラストは
いい意味で馬鹿笑いできたのでセーフ。
4章までも面白かったですし総合的には
満足なのですが、他人には勧められません。
本を読むという博打を楽しめる人向けですね。

個人的にはこういう変な本に手を出すのも
読書の醍醐味だと思っていますけど。