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『東京コンフィデンス・ゲーム』建倉圭介 感想
東京コンフィデンス・ゲーム東京コンフィデンス・ゲーム
(2012/10/18)
建倉 圭介

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企業買収詐欺を扱った経済小説。

死亡した母親の借金を背負わされた主人公は
勤めていた銀行の顧客の預金を騙し取ろうと画策。
しかしその顧客がこれまたヤクザだったせいで
今度は自分の命までもが狙われる破目に。
この状況から抜け出すためには企業買収詐欺を
成功させて20億を手に入れるしかない。
果たして、ただの銀行員だった主人公が
見事に詐欺を成功させることが出来るのか?

というお話なのですが、まず序盤で状況を
二転三転させて読者の興味を引くのが上手い。
中盤からは買収関連の薀蓄ばかりになるのですが、
最初からこれをやっていたとしたら
読者が飽きてしまうこと間違い無しでしょう。

買収関連の話にしても、複雑な手順を
分かりやすく説明しているのには感心です。
まず偽のコンサル会社を立ち上げて
信頼度を上げるためにあちこちとコネを作り、
本物の銀行や弁護士、投資会社を巻き込んで
外堀を埋めるという手順は非常に興味深い。

もちろんコンサル会社に所属しているのは
全員詐欺師な訳で、無駄に貫禄だけある中年や
アル中の会計士、地味な俳優崩れに暗い声優など、
個性的な一芸持ちばかりになっています。
詐欺と言っても経済詐欺メインだけあって
どいつもこいつも勉強家というのも新鮮でした。

更に詐欺の下準備を続けていくうちに
ターゲットの会社の上層部がかつて隠蔽した
犯罪についても意外な真相が…という流れで
ただの経済犯罪小説で終わっていないのもいい。
序盤は激しく、中盤は丁寧に、そして終盤では
どんでん返しという構成が見事な作品でした。
映画にすると凄く映えそうだなぁ。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学