2013/10/25

『後悔と真実の色』貫井徳郎 感想

後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)
(2012/10/10)
貫井 徳郎

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幾人もの女性を殺害し指を切り取り続ける
連続殺人犯と、それを追う警察官・西條の物語。

ミステリーとしては非常に手堅い出来ですね。
殺人犯の突飛に見えて実は計算高い行動は
読んでいてワクワクさせられますし、
それでいて物語をちゃんと読んでいれば
自然と犯人の目星が付く流れになっています。
若干強引なミスリードはあるものの、
私としては十分許容範囲の仕掛けでした。

人物描写については、警察側は面白い。
個性的な刑事たちが一人の人間としての
拘りや処世術を見せてくれるのがいいですね。
強い正義感と同時に汚い嫉妬心を持っていたり、
やる気なさげに見えて深い悩みを持っていたり、
警察官という特殊なサラリーマンであっても
普通の人間であるという心理描写が絶妙。
これは共感しやすいです。

しかし逆に犯人サイドの描写は薄い気が。
よくいるプライドの高い異常者という感じで、
そのせいで描写が薄い人間をマークしていれば
自然と犯人が分かってしまいました。
もう少しこっち側も捻って欲しかったかも。

事件関連の流れはきっちりしていましたけど、
その割には読後感はかーなーり悪いです。
犯人がしょっぱい割には、その逮捕のために
主人公である西條が失ったものが大き過ぎる。
多少、西條の自業自得な部分があるとはいえ、
どうしてこんなクソ野郎のために…
という理不尽さが残っちゃうんですよね。
「慟哭」のように突き落とす感じはないものの、
こちらは虚無感が強いと言えばいいのかな。
それ故に面白くても人には勧めにくい作品です。