2013/10/20

『機龍警察』月村了衛 感想

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)機龍警察(ハヤカワ文庫JA)
(2010/03/19)
月村 了衛

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近未来警察小説「機龍警察」シリーズの1作目。
私の場合は2作目、3作目を読んでから
1作目を読むという変則的な順番になります。

続編と比べると導入部ということもあってか、
龍機兵によるメカバトルは少なめですね。
過去編を含めれば機甲兵装での戦闘シーンは
そこそこあるのですが、龍機兵の真の力を
見ることが出来るのはラストバトルのみ。
普通のメカアニメでは考えられない構成です。

しかしそれでも読ませてくれるのがこの作品。
敵の本当の狙いがなかなか読めない中、
警察内の勢力争いや他省庁からの干渉など、
切り札たる龍機兵を動かせる状況まで
持って行く政治劇が非常に面白いんですよね。
事件解決への手がかりを掴むのが
生身の捜査官の地道な捜査というのも良い。

今回は1作目ということで主要な登場人物を
紹介しつつ、龍機兵の操縦者にして
現役傭兵である姿を中心に物語が進みます。
姿自身が経験豊富な歴戦の傭兵であるせいか
他の操縦者二人に比べるとメンタル面が強く、
昨日の友が今日の敵という傭兵特有の
厳しさはあるものの、悲劇というよりは
ハードボイルド作品の雰囲気に近いですね。

話の構造も続編と比べるとシンプル。
しかし、その合間にユーリの警察に対する
複雑な感情や、ライザと緑の静かな対立など、
今後への伏線が散りばめられているので
見どころは決して少なくないです。

このシリーズを読むたびに感じるのは、
こういうアニメに近い設定をぶち込んだ
大人の小説が増えて欲しいということ。
おっさんオタクも増えてる現在なら
結構需要ありそうな気がするんですけどね。
ともあれ、近々4巻も出るとのことなので
今後も応援して行きたいシリーズです。