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『城は踊る』岩井三四二 感想
城は踊る (角川文庫)城は踊る (角川文庫)
(2012/12/25)
岩井 三四二

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関東の片隅で起こった城攻めのお話。
戦国時代を舞台にした小説は数あれど、
ここまで局地戦に特化した物は少ないかな。

内容はほぼ城攻め一辺倒。
攻める側は守る側の数倍の軍勢があるものの、
守る側が堅固な城によっていることもあり
凄まじい泥仕合が繰り広げられます。

まだ鉄砲がほとんどないこともあって、
弓矢や礫の応酬や槍での叩き合いがメイン。
一撃で死ぬことこそ少ないとはいえ
攻めているうちに負傷者は増えていき、
陣内でのモチベ降下は著しい物があります。
といっても逃げ出すと打ち首ですし、
ヤケクソ気味に戦うしかないんですよね。
討ち死に描写や負傷者たちの厭戦ムードなど
読んでいるこちらまで凹む描写が多いです。

そして下っ端の必死さを他所に
上層部が権力争いしているのもお約束。
この上層部にしても所詮は小城の支配層。
大名から見れば使い捨てみたいなもんですし、
生きるためには汚い手段も躊躇いません。
品性なんてクソ食らえなのです。
馬鹿らしいですけどこれこそ戦国の常。
酷い状況ではあるのですが、それでも
まったく絶望せず、よくあることとして
淡々と生きてるのは救いなのか哀れなのか。

まさにグダグダという言葉が相応しい小説。
燃える歴史小説とは対極の作品ですが、
この泥臭さもまた戦国らしさなんだろうなぁ。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学