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『スターバト・マーテル』篠田節子 感想
スターバト・マーテル (光文社文庫)スターバト・マーテル (光文社文庫)
(2013/01/10)
篠田 節子

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対照的な2本の中編が収録されている一冊。

表題作である「スターバト・マーテル」は、
欝気味な中年女が久々に再会した中学時代の
同級生と共に破滅に向かって堕ちていくお話。

癌をきっかけに死を身近に感じるようになり、
退廃的な生き方になっているというのは
分かるのですが、周りの人間にとっては
暗い雰囲気を撒き散らすだけのはた迷惑な
存在というのは作中で旦那が言っている通り。
励ます側にとっては非常に辛いです。

それでいて同級生との逢瀬には
積極的だったしますし、なんというか、
言い訳ばかりの作品だった気がします。
つまらないわけではないのですが、
読後感はあまりよろしくない作品でした。

「エメラルド・アイランド」は一転して
爽やかで前向きな終わり方をする作品ですね。

若者は若者なりに、中年は中年なりに
重い悩みから軽い悩みまで持っているもの。
本人にとっては重要でも他人にとっては
大したことなかったりするもんです。
自殺する気だったのがおばさんの説教で
覆されたり、離婚するつもりだったのが
語学の壁でうやむやになってしまったり。

表題作の鬱々とした展開と比べると
あまりにも対照的過ぎる話なんですけど、
だからこそこちらの作品が輝いて見えます。
生きるのもそう悪くないんじゃねーのと
ゆる~く考えさせられる一冊でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学