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『砂の王国』荻原浩 感想
砂の王国(下)砂の王国(下)
(2010/11/16)
荻原 浩

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ホームレスまで堕ちた中年男性が
一念発起して新興宗教を立ち上げるという物語。
他の感想でも何度も言われていますが、
発端は篠田節子さんの「仮想儀礼」に似ています。

ただ、これも他の感想で言われているのですが、
「仮想儀礼」では宗教というものの
奇形化が重点的に描写されていたのに対し、
「砂の王国」ではあくまでこの宗教を立ち上げた
木島という人物の描写がメインになっています。
「仮想儀礼」は徐々に淫靡な邪教めいた
雰囲気になって行ったのですが、「砂の王国」は
木島の金儲けの話という感じでしょうか。

この差自体は全く問題ないのですが、
「仮想儀礼」が行くとこまで行ったのに対して、
「砂の王国」は途中でドロップアウトした感が
強いので、読後に少し物足りなさが残りました。
教団の行方だけでなく木島本人の離婚問題も
結局ケリがついてないのがモヤモヤします。
過去のトラウマも投げっぱなしですし。

ただ、それでも終盤までの流れは面白いです。
こういうどん底から這い上がって組織を
育てていく物語というのはワクワクさせられる。
内部分裂が起こり始めた辺りなんかは
これからに期待していたんですけど、
それだけに終盤の展開が惜しいと言うか。

こういう物語は教団崩壊で終わるにしても、
悪人主人公大勝利で終わるにしても、
しっかりケリをつけて欲しいところですね。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学