2013/09/02

『風吹く谷の守人』天野純希 感想

風吹く谷の守人風吹く谷の守人
(2012/01/26)
天野 純希

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一向一揆の中では少しマイナーである
越前一向一揆をテーマにした一作。

主人公が凄腕くの一ということもあって
ストーリーの展開はラノベに近いのですが、
歴史背景の描写の深さは流石の一言でした。

大名を倒しても支配層が変わるだけという
一向一揆の現状や石山本願寺との力関係、
そして大軍で攻め込んでくる信長という
当時の混沌とした世情は本当に面白い。
歴史小説においては信長が悪役として
書かれることが多く、逆に一向一揆が
悪く書かれることは少ないのですが、
この本ではどっちもどっちという感じです。
まあこの時代は弱肉強食だからなぁ。

ただ、その歴史描写に対して主人公や
ライバル忍者の超人っぷりは浮いてたかな。
ワラワラ涌いて来る忍者や雑兵たちに
じわじわと狩られていく村人という描写は
どこかB級映画を感じさせるものでした。
これなら普通に一揆に参加した一人の
若者を主人公にした方が良かった気がする。

個人的には、天野さんの作品は歴史上の
人物を主人公にした重めの作品が好きかな。
南海の翼なんて後半は欝展開の嵐でしたけど
そこがグッと来るんですよね。