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『握りしめた欠片』沢木冬吾 感想
握りしめた欠片握りしめた欠片
(2009/09/26)
沢木 冬吾

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7年前に島で起こった少女失踪事件と
7年経ってから男が殺害された事件の謎を
並行して追いかけていく物語。

冒頭は少女の弟だった正平視点で進むものの、
基本的には島で一番の会社の社長である
杜間の視点で進むことが多かったですね。
島の大物から引き継いだ会社の運営や、
社内での権力争いもこなしつつ事件への
対応を行うという苦労人ぶりには同情できる。
社長業を行いながら探偵もどきな真似をして
事件を調べるというシチュは珍しいかも。

正平の子供ゆえの未熟さ、無力さは
見ていて歯がゆいものの好感が持てます。
大人たちは子供扱いしてて実際に
子供ではあるのですが、大人たちが
思っているほど子供ではない微妙な時期。
親父とのやり取りには成長が感じられました。

事件自体も先が読めなくて面白かった。
話が進むうちに次から次へと容疑者が増えて
更に馬鹿刑事や呪い師のお婆ちゃんなど
場を引っ掻き回す人物まで乱入してきます。
会社の中でも誰が裏切っているか分からず
地道にカマをかけるという方法も新鮮。
杜間が素人なのでカマかけも下手なのですが、
そこがかえってハラハラさせてくれます。

ラストは力業で終わらせた感がありますけど、
むしろ個人の思惑が複雑に絡み合ったた状況に
決着をつけるには相応しい終わり方だった気も。
殺伐としてて無茶苦茶なんですけど、
当事者たちが納得しているせいで読んでいる
こちらもスッキリできる決着でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学