2013/08/01

『早春の化石』柴田哲孝 感想

早春の化石早春の化石
(2010/04/11)
柴田 哲孝

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ハードボイルド探偵神山への今回の依頼は、
依頼人の双子の姉の行方を探すこと。
行方不明になる直前にストーキング被害に
合っていたことは分かっているものの、
肝心のストーカーが死んでしまったため、
手がかりが途切れているという状況です。

主人公である神山のタフガイっぷりは
相変わらずで、チンピラに絡まれようが
ヤクザに絡まれようがまったく動じずに
淡々と対応していくのがかっこいいですね。
時にはブランド物で身を固めてポルシェを
乗りこなし、時にはツナギを着てバイク整備。
身内にいれば安心感が凄いだろうな。

でも依頼人の女は鬱陶しかったですね。
自分の不幸に他人を巻き込むタイプというか、
男がクラッと来る色気を振りまくというか。
正直、お近づきになりたくないのですが、
色仕掛けで攻められると突き放せないかも。
そのうえ割と電波なところもありますし。

ストーカーの足取りを追っていくうちに
話が意外な方向へ流れていくのですが、
推理小説とはちょっと違うんですよね。
人間の過去を探る調査小説とでもいうべきか。
このシリーズは雪国をあちこち行く場面が
多いのでちょっとした旅行小説のような
楽しみ方も出来るような気がします。

ただ、話はよく練られていたんですけど
読み終えた後に残るものは少なかった印象。
主人公は良くも悪くも淡々としていますし、
依頼人の女にしても頭の緩いキャラなので
こちらもサラッと読んでしまったのかも。
まあ、そういうどこか乾燥した心理描写も
ハードボイルドらしくはあるのですが。