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『告発の虚塔』江上剛 感想
告発の虚塔告発の虚塔
(2011/01)
江上 剛

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江上さんお得意の銀行金融小説。

3つの銀行が合併して出来たメガバンク。
日本を牽引する巨大銀行の誕生かと思いきや、
その実態は3つの派閥が足を引っ張り合い
合併前よりダメになっているというお粗末さ。
合併前に他の銀行が担当していた会社には
融資しないとか、組織の私物化怖過ぎですよ。
これは黒字経営でも潰されるわ。

買収する側と買収される側のメインバンクが
同じって状況はなかなか興味深かったです。
正式には片方は系列証券会社なんですけど、
こういう際に銀行と証券会社の間を分離させる
ファイアーウォールという考え方は新鮮。
こういうところも対策されてるんですね。
現実では抜け穴がありそうですけど…。

金融庁を巻き込んで現頭取を追い落とすという
謀略は面白かったですけど、一方で銀行って
そういう仕事じゃないだろうという感想も。
まあ大企業となると謀略も付き物でしょうけど。
この前あった川崎重工でのクーデターも
裏ではこういう動きがあったのかもしれない。

しかし江上さん、相変わらず経済パートは
面白いんですけど恋愛パートはお粗末ですね。
メインではないとはいえ主人公も元恋人も
なんだかよく分からないうちに元鞘なので
微妙に小骨が引っかかったような読後感。
いちいち恋愛を入れなくても面白いお話が
書ける人だと思うのですが…。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学