『牢獄の超人』美達大和 感想
![]() | 牢獄の超人 (2012/11/22) 美達 大和 商品詳細を見る |
うっかりで一般人を殺してしまった主人公が
刑務所生活を送るうちに更正していく物語。
主人公は最初は頭空っぽのヤンキーで、
人を殺したことへの罪悪感もないのですが、
刑務所の大物や姉の死と向き合うことで
少しずつ構成していくことになります。
前半は本当に酷い展開。
人を殺した後も量刑の重さや刑務所での
立ち回り、出所した後の生活ばかり気にして
まったく反省する様子がありません。
ただ、実際こういう人も多いんでしょうね。
反省している人でも、人を殺したという罪に
見合うほど考えている人は少ないでしょう。
そもそも相手が死んでしまっている以上、
どれだけ反省しても償うのは不可能。
姉の死によって初めてそのことを実感した
主人公は、刑務所の大物と対話することで
「償い」について考えていくことになります。
どれだけ反省しても殺人の罪は消えず、
一生苦しみながら生きていくというのは
結論としては納得できる落としどころ。
遺族からは許されないのも当然と。
ただ、ここへ至るまでの問答はちょっと
新鮮さに欠けてて退屈感があったかも。
深さでは後半なのですが、面白さでは
前半の刑務所アウトロー生活が上ですね。
しかし、本当の更正とはこういうこと。
刑務所でももっと問答を増やせばいいのに。
と思いましたけど、今やってもすぐに
対策参考書とか出るんだろうなぁ。