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『原発と拳銃』杉浦昭嘉 感想
原発と拳銃原発と拳銃
(2012/02/11)
杉浦昭嘉

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昔、原発建設に参加した親友の死から始まる物語。

内容としては一応、反原発小説に当たるんですけど
主人公の自分語りが面白いせいで反原発の印象は
薄れているというなんとも不思議な小説でした。
そのせいで物語の主旨は曖昧になっていますけど、
原発に振り回された一人の男の話としては面白かった。

この本では基本的に悪い人間はいないんですけど、
それだけに悪の根深さを感じるというか。
熱しやすく冷めやすいとか普段の危機感のなさとか
日本人には共通していますけど直しにくいですわな。
原発を支持するトップが分からないというのは怖い。
誰かが止めようと言っても、利権に絡む人が多過ぎて
どうすれば分からないというのは本当にありそう。

エロシーンで妙に力が入ってたのには噴きました。
ただ、こういう老い先短いおっさんと若い娘が
穏やかにいちゃついている光景は結構好きだったり。
私が年の差カップル好きというのもありますけど、
お互い癒し合っている雰囲気も好きなんですよね。

終章は死が間近ということもあってかなり内省的。
特に最後の方は幻覚のような描写も多くて
読みにくかったんですけど、死ぬ間際の思考の
混乱として考えるとある意味リアルかもしれません。

なんだろうな…一貫してないんですけど、
一貫してないというところが一貫してるという
ちょっと不思議な感覚に浸れる小説でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学