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『黒南風の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』伊東潤 感想
黒南風(くろはえ)の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞黒南風(くろはえ)の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞
(2011/07/09)
伊東 潤

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文禄・慶長の役での日中朝について
加藤清正隊の視点から書かれた歴史小説。

前半は清正隊の武将・佐屋嘉兵衛が主人公。
この手の話の主人公としてのお約束ですが、
やはり嘉兵衛もこの戦に疑問を持っています。
それでも名誉や報酬のために働くのが武士で、
彼らの働きで日本軍は快進撃を続けることに。

この作品では基本的に清正を直情径行型の
いい奴として書いている反面、小西行長などは
小細工大好きな小者として書いていますね。
一応、行長なりに和平の道を探っていたという
フォローは入るものの、彼の朝鮮での動きを
見ているといまいち信用できないのも当然か。

そんな中で捕虜となった朝鮮の役人、金宦。
嘉兵衛と金宦はお互い国のために働く者として
徐々に友情を育んでいくことになります。
ここら辺は小説っぽい作り事で面白い。
そして今度は嘉兵衛が朝鮮の捕虜になり、
金宦が清正の側近になる逆転劇も面白い。
そしてクライマックスは蔚山城の戦い。
立場を入れ替えた嘉兵衛と金宦の活躍で
清正が逆転勝利する流れは実に爽快でした。
そのせいで明軍が一番悪者に見える罠。

嘉兵衛と金宦の物語はいかにも小説的ですが
その他にも当時の朝鮮の身分制度の問題点や
日本と明の板挟みに合う朝鮮の立場など
普段は見えない部分が見られたのも良かった。
でも佐屋嘉兵衛=沙也可は分かる人なら
一発で分かっちゃうのが難点だなぁ。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学