2012/11/01

『廃院のミカエル』篠田節子 感想

廃院のミカエル廃院のミカエル
(2010/11/26)
篠田 節子

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紛争地帯へ左遷された日本人女性が
ギリシャに流れ着いて再起を図るものの、
廃墟となった修道院を覗いたことから
彼女の周りで次々不吉な出来事が…
という分かりやすい流れのホラー小説です。

序盤の穏やかなギリシャの情景描写から
中盤の得体の知れない恐怖描写へ滑らかに
移行していく展開は流石としか言い様がない。
ギリシャに行ったことがなくても脳内に
情景が浮かぶので非常に読みやすいです。

ただ、全体の流れを見ると迷走した感も。
外国でのし上がることを狙う女主人公と
作品のテーマである宗教観、更に脇役達の
私生活の悩みなど、それぞれが微妙に別の
方向を見ているようにも思えました。
主人公が俗過ぎるのは若干印象が悪い。
綾子さんはいない方がスッキリしそう。
逆に犬をもっと活躍させて欲しかったかも。

事件の真相が少し前に読んだ「黒い春」と
モロ被りしてしまったのも運が悪かった。
こっちを先に読んでいればもう少し
衝撃的な展開を楽しめたと思うのですが。