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『オリーブ』吉永南央 感想
オリーブ (文春文庫)オリーブ (文春文庫)
(2012/02/10)
吉永 南央

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「別れ」をテーマにした短編集。
同じテーマを使いながら5つの短編が
しっかり別々の物になっているので
最初から最後まで読み応えがありました。

表題作「オリーブ」はある夫婦の物語。
妻が失踪した謎を追う夫は妻の秘密と
自分の家族がかつて犯した罪を知ることに。
それでも変わらない夫の愛と、仇である
夫への妻の複雑な感情が見どころです。

「カナカナの庭で」は年老いた夫婦の物語。
死を目前にした夫が妻の秘密に気付きながら
それを墓場まで持っていくのが切ないです。
愛する者に死後も覚えていて欲しいという
シチュは私にはツボ過ぎるのです。

「指」は若手芸術家の男と愛人の女の物語。
恋人である男の盗作を知った女は…
という感じであとは定番の痴情の縺れですが、
それぞれが痛い目を見つつも各自の負い目も
清算されるので意外に爽やかな読後感です。

とあるカップルの別れを描いた「不在」。
自分の妹が統合失調症だということを
隠している女が妹に振り回された挙句、
婚約者を失うことになる…かと思いきや、
この婚約者の男のイケメンぷりが光ります。
苦労知らずのボンボンかと思ってたのに…。

「欠けた月の夜に」は夫を病気で失った妻が
夫の私生活の秘密を追っていくというお話。
社会派なお話かと思いきや、妻の周りにいる
子供や友人の心遣いが身に染みる内容です。
こういうフェイントは癒されますわー。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学