2012/02/22

『撃てない警官』安東能明 感想

撃てない警官撃てない警官
(2010/10)
安東 能明

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警察という組織を事務側から見た短編連作集。
部下の自殺によってエリートコースから外された
主人公が所轄の警務課に入り、数々の不祥事を
揉み消していくという内容になっています。

警察官を主人公にした小説は数多くありますが、
この本の主人公は警務畑の人間として警察内部の
不祥事を隠蔽するのが仕事という点は面白い。
その仕事に対して特に不満を持つわけではなく、
むしろ責任感を持ってしっかりとやり遂げる姿は
変な例えですが職人に近いものを感じました。

主人公だけでなくこの小説に登場する警察官達は
当たり前のように失態を隠し、その上で仕事として
真剣に事件の解決に当たっている人物が多いです。
警察組織の腐敗と警察官の真面目さが対立せず、
ごく自然に両立している作品は珍しいと思います。
案外、現実の警察も内側はこんな感じなのかも。

やっていることは隠蔽なのですが、記事になれば
マスコミから袋叩きにされそうな重要案件を
しっかり隠し切る姿には妙な爽快感がありました。
不祥事対策をメインにするという発想と各短編で
しっかりオチを付ける構成力が光る一冊です。