2012/02/08

『幻海 The Legend of Ocean』伊東潤 感想

幻海 The Legend of Ocean幻海 The Legend of Ocean
(2010/06/19)
伊東 潤

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豊臣秀吉による小田原攻めの真っ最中。
禁教令解除を狙う宣教師と中間管理職で腐る侍が
秀吉の資金確保のため、伊豆奥地の黄金の国を探して
様々な難関に挑むという冒険アクション小説です。
伊東潤さんといえば硬派な歴史小説という印象ですが、
今回の作品は珍しくファンタジー色が強めです。

とはいえ、小田原攻めの中では脇役の方である
伊豆攻めでの海戦へ目を付けたのは流石です。
今まで北条家滅亡時の小説はいくつか読んだものの、
伊豆に焦点を当てていたものはありませんでした。
単純にこの時代の日本海戦を描くだけでなく、
東洋船団vs西洋船団という架空戦記的な展開も
あったりしてなかなか奥深く楽しめる一冊です。
伊東さんの本では滅びの美学が感じられる
切ないバッドエンド系のお話が多いのですが、
今回は冒険小説的な明るい終わり方でした。
こういうのも書ける人なのかと素直に感心です。

ただ、いかにもアクション映画的な雰囲気なので
いつもの重厚な歴史小説を期待すると肩透かしかも?
黄金郷の真相にしても衝撃は薄かったですし、
どうせならもっとトンデモ結末に走った方が
ファンタジー小説として面白かったかもしれません。