2012/01/25

『沈黙の森』馳星周 感想

沈黙の森沈黙の森
(2009/10/20)
馳星周

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かつて新宿で人を殺しまくって恐れられたものの
今は軽井沢で別荘管理人を営んでいる田口健二。
しかしヤクザから5億円を盗んだ男が軽井沢に逃れ、
それを追ってきな臭い男達が次々とやってきたことで
田口の平穏な時間は失われ殺戮の嵐が吹き荒れます。

この主人公の田口の空っぽさは面白かった。
最初は穏やかで真面目な人物かと思っていたのですが、
そのまま平然と人を殺しまくる姿は非常に怖いです。
彼にとっては汚れた別荘を掃除するのも敵対する
人物を消すのも同じようなものなのかもしれません。
愛する人に言われるままにヤクザを辞めたものの、
単純に言われたから辞めただけでヤクザが悪だとか
暴力は駄目とかそういう感情はほとんどなさそう。
本人も分かっているように考えるより行動というのを
突き詰めていくとこういう人間になってしまうのかも。

そんな空っぽの主人公が全てを破壊しながら
破滅へと進んでいくお話なので読んだ感想も空っぽ。
内容がないという言い方が一番当てはまるのですが、
この主人公が紡ぐ物語にはそれが相応しい気がします。
空虚な物語という感じが私的には嫌いじゃなかったり。
冬の寒い軽井沢という舞台も雰囲気に合っていたかと。

あ、でも犬は非常に可愛かったです。
馳さんの犬好きが伝わってくるような描写で
殺伐とした物語なのにちょっと和んでしまいました。