2011/12/09

『エウスカディ』馳星周 感想

エウスカディ 上エウスカディ 上
(2010/09/28)
馳 星周

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1971年。
世界革命を目指す赤軍派の吉岡良輝はスペインからの
バスク独立を狙う過激派組織ETAとのパイプを作るため、
ETAに合流し組織のテロ活動を手伝っていくことに。
組織で信頼を得た良輝は組織内の裏切り者を探すという
大役を命じられますが、果たしてその裏切り者とは…。

それから30年以上経った2005年。
吉岡良輝の息子・アイトールは過去のテロ事件を調べる
へススと出会ったことで父・良輝が組織の裏切り者に
殺されたことを知り、事件の謎を探ることになります。
組織だけでなく警察からも追われる裏切り者を探し続ける
アイトールが最後に辿り着いた真相とは果たして。

という感じで過去と現代が交互に進んでいくこの作品。
日本からは遠いスペインの民族紛争が舞台ということで
若干とっつき辛さはありましたけど、いざ読み始めると
物語の展開が非常に上手くあっさり読了してしまいました。

まず過去と現代の切り替えが非常に上手い。
過去パートに怪しい人物が出てきたかと思ったら
次の現代パートでは早くも死んでたりしてて侮れません。
上巻ではその激しい展開に振り回されっぱなしでした。

下巻になると怪しい人物はほぼ削られて犯人が
絞られるのですが、その人物を追い詰めるまでの展開が
また緊迫感が溢れていて最後まで目が離せません。
最初から最後まで二転三転する展開はお見事です。
サスペンスミステリとしては非常に面白かった。

終わり方も馳星周さんらしくグッサリ来るのがいい感じ。
欲を言えばエピローグとしてもう一押し欲しかったですけど、
それ以外は文句なしといってもいい出来だったと思います。
私はこの時期のスペインの知識はほとんどなかったので
そっち方面でも勉強になりました。