2011/11/09

『月と陽炎』三咲光郎 感想

月と陽炎 (ハヤカワ・ミステリワールド)月と陽炎 (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2011/02/04)
三咲 光郎

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十三歳のときに少女を解体して捕まった主人公。
更正プログラムを経て社会へ出てきた彼は平穏な
日常生活を送っていたものの、連続女性失踪事件に
巻き込まれたことから事態はおかしな方向へ…。

前半は狂った主人公が更正プログラムによって
日常生活を送る歪さが上手く描写されています。
拉致されようがボコられようが真面目にバイトに
通おうとする狂いっぷりがちょっと怖かった。
ここら辺、プログラムという設定が生きてました。
壊れたおもちゃを集め続けるという細かい描写にも
主人公のアンバランスさが現れています。

しかし後半はなんというか…別物?
主人公がPMS(傭兵)による国内での対テロ戦争に
巻き込まれて徐々におかしくなっていくという
流れなのですが、前半の狂気描写が丁寧だったのに
後半は普通のアクション小説になっています。
少年犯罪者と戦争という異色の組み合わせは
面白そうだったんですけど、料理し切れなかったか。
少年犯罪を追う女性記者も使い捨てでしたし、
神父のとってつけたような狂気も惜しい。

前半がいい出来だっただけに最後まで
サスペンスで進む展開も見たかった気がします。
超展開小説としては楽しめましたけど。