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『戦国鬼譚 惨』伊東潤 感想
戦国鬼譚 惨戦国鬼譚 惨
(2010/05/21)
伊東 潤

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武田家滅亡に絡んだ武田側武将達の短編集。
武田家滅亡といえば一大イベントではあるものの、
基本的に武田側総崩れですし、各武将の動きにしても
それぞれがサラッと流されることが多い印象です。

その流されていた部分を掘り下げているのがこの本。
裏切った武将にしても戦って散った武将にしても
通り一遍の動機ではなく、読者を納得させつつ
意外性を持たせているのがお見事でした。
大筋自体は一般的に知られているものなのですが、
その裏にある事件や動機のでっち上げが実に上手い。
各キャラの心情も非常に感情移入しやすいため、
実際こういうことがあったのかも…と思わされます。

木曽義昌裏切りの理由や武田逍遙軒の立場での苦悩、
穴山梅雪の末路の真実には意外性がありましたし、
下條家の陰謀や仁科盛信の愛も戦国時代ならありそう。
武田家の末路に相応しく基本的に暗い雰囲気なのですが、
どの短編も読み応えがあって満足度の高い一冊でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学