2016/04/03

『アルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカ』 感想

公式はこちら

サークル『人工くらげ』のSFノベルゲームである
『アルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカ』の感想です。

タイトルのアルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカとは
3000の並行世界に存在する自分が一同に会し、
それぞれが作成したノベルゲームを発表する即売会の名前。
物語は主に3つの世界の自分の視点で進行し、
各々が部活モノ、東方二次創作、SF作品を作ることになります。

ここでシレッと東方二次創作が入っているところが
同人ゲームならではの展開であると同時に、
作中と現実が繋がっているようなリアルな感覚を与えてくれます。
東方だけでなく、現実にあるアニメやゲーム、声優の名前も
ガンガン出していけるのは同人ゲームの強みでしょう。

話のメインテーマは「物語を作る」ということ。
これだけだと単なる文学的な話になりがちなのですが、
それに並行世界を絡めてSF仕立てにしているのが面白いですね。
単なる並行世界だけでなく、過去や未来も絡んできますし、
物語を作らなかった世界も垣間見える点が話に厚みを与えています。
オタク要素を使った見せ方も上手く、歴代戦隊モノを並べ合って
どの時点で並行世界がズレ確かめる展開は胸が熱くなりました。

作中作が3本もあることも本作の特徴。
どの作品もなかなか興味を引かれる内容なのは当然として、
キャラをどこまで増やすかや二次創作でのオリキャラ投入など、
作り手としての判断を問われるネタも盛り込んでいます。
個人的には物語を纏め切れるなら何でもありだと思っていますが、
一般的には受けの悪いネタも数多くあるわけで、
そういうのを意識しつつどこまで自分が作りたいものを
作っていけるのかというのは、創作の永遠のテーマですね。

本作には機見さん、野々原、パル子という3人の女性が登場し、
視点も3つに分かれているのでてっきりギャルゲー的な
ヒロイン選択が発生するのかと思い込んでいたのですが、
どのルートでも野々原とくっついてたのは意外といえば意外。
まあ、ノベルゲームを作るというこの作品の目的を考えると
他の選択肢はかなり難しくなるわけですが、
これに関しては自分のギャルゲー脳を反省した次第。
もちろん、商業作品なら他の手段でノベルゲームを作る展開にして
話の幅を広げるのが常道ですが、同人作品でしかもフリーですし、
物語をコンパクトに纏めたのは適切だったと思います。


まとめ。
最初触ったときは「最高のノベルゲームを作る」作品なのかと
思っていたのですが、実際にはその手前の段階である
「作品を完成させる」ということについて考える作品でした。
この手の作品では業界の薀蓄が多くなることが多々ありますが、
本作ではそこを薄めにして、あくまで創作の心構えについて
SF要素を絡めて語るという点に注力していたのが良かったなと。

創作活動というものを真面目に考える作品として
良い刺激にはなりましたし、これから創作活動を考えている人や
未完成作品を抱えている人には是非触って欲しい作品です。
2014/10/14

『マヨイヒツジの果樹園』 感想

公式はこちら
マヨイヒツジの果樹園
Namaageさんの同人ゲームである
『マヨイヒツジの果樹園』をプレイしてみました。

主人公は自称・真面目系クズである山田一郎。
胡散臭い学園に教師として赴任した彼は美少女生徒に囲まれ
キャッキャウフフの教師ライフを送ることになるのですが、
もちろんそんな平和な生活が続くはずもなく…。

という感じで、ディストピア系アドベンチャーと
名乗っている通り、学園の真実が明かされる辺りから
少し厳しいめのSFへとシフトしていくのがこの作品です。

体験版の感触は良かったですし、完成版での雰囲気や
ラストのオチも綺麗でしんみりしてしまったものの、
プレイ時間自体は短いのでサクッと終わったのは惜しい。
作品構成はトゥルーエンド1つ、バッドエンド2つという
形になっているのですが、どのルートもボリュームは少なく、
個別ルート的なものを期待すると拍子抜けするかと。
男も女もいいキャラばかりだっただけに、
もう少し色んな展開が見たかった気はします。

同人ゲームとしてはごく当たり前のボリュームですが、
この当たり前から更に一歩抜け出せるかどうかが
作品の掘り下げにかかっていると言っても過言じゃない。
特にこの作品の場合は根幹の設定は面白いですし、
それを個別ルートで広げていたら…と考えてしまいます。
ミンサールートとかもっとグッチャリしてると
私好みのドロドロルートになったと思うんですけどね。
まあ、良くも悪くも小奇麗な作品なので
そういう方向へは進まない気はしていましたさ。

お気に入りキャラはマツリさんとミンサーかな。
どちらも一郎との関係性に気が利いてて好きです。
特にマツリさんとの関係はオチまで含めて完璧でした。
ミンサーは分岐以降でもう少しグダグダやって欲しかった。
逆にキャセはキーパーソンではあるんですけど、
本編での活躍自体はそれほどでもなかったのが残念です。
マツリさんに食われてしまった感が強い。


まとめ。
サクッと読めるSF短編ノベルという感じ。
舞台に隠された真実からラストの捻り方まで
王道な感じで作っているだけに先は読めるのですが、
綺麗に纏まっているので読後感はスッキリしたものです。

もう一回りボリュームが大きければ…と思うのは
それだけ自分がこの作品を気に入っているからですね。
体験版のノリが合っていて、短編でも満足できる人なら、
サクッとDL購入してみるのもよろしいかと思います。
2014/08/21

『スターズ★ピース 恋愛応援⇒友達獲得ケーカク』 感想

公式はこちら。
スターズピース
平星高校ゲーム制作部さんが作った大作無料同人ゲーム、
『スターズ★ピース 恋愛応援⇒友達獲得ケーカク』の感想です。

主人公「上倉ひかり」は今まで数多くの転校を繰り返し
どの学校でもボッチを貫いてきたプロボッチと言える存在。
そんな彼女が今度こそ友人を作るために考え出したのが
クラスメイトの恋愛を応援して友達になるという方法。
しかし一筋縄ではいかないクラスメイトたちの恋愛となると
そう簡単に行くはずもなく、毎回毎回四苦八苦することに。
というのが話の大まかな流れです。

このゲームを一言で表すなら学園版逆転裁判でしょうか。
あくまで学園物なので殺人事件は起こりませんが、
学園内を走り回ってクラスメイトからの聞き込みを繰り返し、
最後は討論によって事件を解決するという流れは同じです。
キャラの立ち絵が派手に動いてドーン!バーン!という感じで
証拠を叩き付けるという演出も見てて非常に楽しめました。
ssuta.jpg
画像でちょちょいと出すだけなので動作が軽いのも良い。
エロゲでもこういう演出、もっと流行ればいいと思う。
ss題

シナリオの分量も多く、コンプまで2周する必要があるので
だいたい30時間程度はプレイすることになりそうですね。
でも事件自体は学生の恋愛レベルに収まっているので
話の吸引力は強くなく、一気にプレイするのは難しいかも。
とはいえ、それもいわゆるバトル物と比べた場合の話で、
日常系の話としては十分な面白さを持っています。
てゆーか面白くなければ1ヶ月もかけてコンプしませんって。

ただ、話の構成的には日にちをかけやすいんですよね。
導入→調査→討論というようにパート分けされているので
一区切り付いたらスッキリして次の日に投げられますし、
他ゲームを触ってる合間の気分転換などにも最適です。
発売直後のエロゲなんかだと「はよクリアせにゃ」精神が
働くんですけど、この作品の場合は関係ないですしね。

上では吸引力が弱いとは書いたものの、
30人ものクラスメイトをしっかり動かしながら
各話をしっかり纏めつつ、ラストに主人公の問題を
持ってくるという王道展開できっちり〆たのはお見事。
吸引力の弱さにも関わらず最後まで飽きなかったのは、
恋愛応援というともすればワンパターンになりそうな素材で
毎回違う展開を見せてくれたことが大きかったですね。
ライバルとしての探偵同好会の存在もナイスアクセント。
ガツンと来る面白さではなく安定した面白さと言うか、
プレイして疲労感の少ない作品でした。


まとめ。
無料で容量1GB超です。
いや無料で長ければいいってもんじゃないですが、
このクオリティ、この長さで無料というのは純粋に凄い。
クラスメイトたちのキャラも立っていましたし、
プレイしていて終始楽しめる作品だったと思います。

女性主人公でいわゆるギャルゲーとは異なる作品ですが、
逆転裁判のようなADVが好きな人にはお勧めかと。
普段はエロゲーメインなのでどうしてもこういうゲームは
後回しになるのですが、このゲームは空いた時間に
ちまちまと進めさせてくれる手軽さが大きな魅力でした。
2014/07/05

『ボクはともだち。』体験版 感想

公式はこちら。

はとのす式製作所さんの『ボクはともだち。』を触ってみました。
久々に同人ゲームの体験版の感想です。

この作品の特徴はギャルゲーの親友役を主人公にしている点で、
主人公がモテモテで親友役が酷い目に合うというパターンを
親友側から見る形で話が進んでいくことになります。
そんなわけで日常的に親友をボコる主人公やヒロインに対しては
結構辛辣な書かれ方をしているのが大きな特徴と言えます。
公式ページを見ると友人役である彰を「主人公」、
主人公である達也を「友達」と紹介していますが、
ややこしいのでこの感想では達也を主人公として扱います。

自分は親友をこき下ろす系の作品はあまり好きではないので、
作中での意見には同意できる部分も結構あったりします。
似たような考え方の人は頷きながら楽しめるかも?
ヒロインは脇役にも優しい方が魅力的だと思うんだけどなぁ。

でもこの作品の主人公である達也も嫌いなタイプなんですよね。
親友役を演じるという設定は面白いんですけど、
その理由は過去に自分が恋愛に失敗したという後ろ向きなもの。
トラウマを理由にして恋愛から逃げるタイプって
正直、親友こき下ろし型の主人公よりも嫌いだったり。
もし達也の言うとおり神様のルールが本物だったとしても、
やっぱ後ろ向きで諦めてる主人公って好きになれんです。
おかげで終始イライラしながらプレイすることになりました。
こいつは逆に親友から殴られるタイプの主人公だゾ…。
まー分かっててそういうキャラにしている気もしますが。

そんな捻くれた達也が、ある日出会った不思議ちゃんに
唆されて他の主人公からヒロインを寝取ろうとする…
かどうか、迷い始めるところまでが体験版のストーリー。
達也はファッキンクソヤロウだと思いますけど、
逆に3人のヒロインは3人ともめっちゃ可愛かったです。
もはや天然というレベルを超えた奇行に走る命。
主人公の幼馴染で毒舌ドSメガネっ娘の隣子。
会話のテンポが良過ぎる自称魔法使い、那波。
この3人が可愛かったおかげで最後までプレイできました。
達也はまず3人に土下座して感謝すべき。
もし僕に隣子みたいなメガネ幼馴染がいたら
毎日罵倒されるためだけに彼女の元に通いますわ。

しかし隣子と那波は彰のヒロイン扱いにはなっていますけど、
達也への好感度がそれほど低いわけじゃないですし、
寝取るというにはちょっと物足りないような気も?
まあ実際は寝取りより達也のトラウマ克服がテーマでしょうし
そこら辺、割りとどうでもいいっちゃいいんですけどねー。
サブキャラがガチでヒロインを寝取る展開だと
それこそエロゲではよくある話になっちゃいますし。

今後は無名の主人公たちに復讐するような展開になるのかな?
でも達也がボコられてるのって自業自得な面もありますし
本気で復讐し始めるのもなんか違う気がしなくもない。
達也がトラウマのないシンプルな「友達」だったら
逆に復讐に説得力が出たかもしれませんけど。
意外と本物の「友達」を目指す方向に進むという可能性も…?


まとめ。
ヒロイン、マジ大事。
正直、主人公についてはいいところがないですけど、
主人公とヒロインの化学反応となると結構惹かれるものが。
ダメ主人公は嫌いですけど、そいつを無理矢理矯正する
ヒロインとの組み合わせはかなり好きだったりするのです。
親友役を主人公にするという設定も面白いですし、
なんだかんだで話の着地点が気になるというのも大きい。

あとは達也自身がどれだけ頑張れるか。
今のままだと隣子の言うように童貞が相応しいですし、
本物の「主人公」としての活躍を見せていただきたい。
完成が楽しみな作品として、今後の動向を要チェックですね。

……しっかし隣子は久々にドストライクなメガネっ娘ですよ。
やっぱこれぐらいきつい対応が好きなんだよなぁ。
2014/01/08

『アスタブリード』 感想

公式はこちら。

ハイクオリティな同人ゲームを作り続ける
えーでるわいすさんの新作をクリアしてみました。

ジャンルとしては分かりやすいアクションSTG。
横シューや3Dシューに視点を変えつつ、
敵を切りまくりながら進んでいくゲームです。
ロックオンシステムなど特殊機能もありますが、
使い方は一発で分かるのでまったく問題なし。

ひとまず難易度ノーマルでクリア済み。
前半は斬撃でごり押しできたのですが、
流石に後半では何度もコンティニューする破目に。
それでも繰り返してるとパターンは見えましたし、
アクションが得意な人なら余裕でしょう。
他にもHardやEasyがあることを考えると
難易度はちょうどいいか、若干簡単気味かな?
最近ジックリゲームしなくなった自分としては
これぐらいがちょうどいいのかもしれません。

ただ、敵や弾が増えると目が追いつかず、
よく分からないまま被弾することも多かったです。
難しいというよりは見にくいという感じ。
後半に行くと目が慣れてきて被弾は減るものの、
ゴチャゴチャしている印象は拭えませんでした。
ここら辺は背景との兼ね合いもあるかな。
グラフィックが綺麗なゆえの欠点でしょうか。
とりあえず見にくくなったらボムぶっぱ安定です。

演出は派手で眺めているだけで面白い。
グリングリン動くロボもかっこいいですが、
戦闘中やデモでキャラが喋りまくるのも良い。
登場キャラは思っていたより少なかったですが、
ワイワイ喋るので作品としては賑やかな印象です。
主人公は気持ちのいい馬鹿ですし、姉妹は可愛い。
禿げ親父も主人公以上に馬鹿で熱かった。

でもストーリーはかなり駆け足でしたね。
始まったと思ったらいきなり最終決戦に突入し、
そのまま一気に駆け抜けていった感じです。
キャラももう数人欲しかったなぁ。
STGのステージ数的には仕方ないんですけど、
1クールアニメだともっと綺麗に収まりそう。
まあSTGで13ステージとかだと死にますが。
あと、自分としてはラスボス戦よりも
その一つ前の方が盛り上がったのが残念かな。
王道展開ではあるんですけどね。


まとめ。
細かいことを考えずにスカッとできるゲーム。
撃ってよし斬ってよしで敵を殲滅していくのは
気持ちいいですし、合間に入る演出もかっこいい。
STGなので一周するのにかかる時間も短く、
心が折れる前にクリアできる難易度もいい感じ。
可愛い姉妹による萌えシーンなんかも
あったりして、まさに充実の内容でした。
ロボ系STG好きならお勧めできると思います。

しかしクオリティの分、お値段も高め。
ここまで力を入れてる作品だと内容的にも
値段的にも商業作品との差が少ないんですよね。
サントラ付きなのでお得だとは思うのですが…。