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2020/07/28

『遙かなる円形世界』体験版 感想

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鬼虫兵庫さんの新作である
『遙かなる円形世界』を体験してみました。

この方の前作である『シロナガス島への帰還』が
非常に面白い作品だったのはブログにも書きましたが、
その後も口コミでジワジワ売れて1万本を超えた模様。
いやー、やっぱ面白い作品は売れるもんですね。

そんなシロナガス島の続編である本作ですが、
短い体験版ながらもこれまた非常に面白かったです。
主人公は前作に引き続き胡散臭い探偵・池田なのですが、
前作で相棒だったねね子の姿がないというのがまず面白い。
この時点で前作プレイヤーは先が気になっちゃいます。

代わりに登場するのがワイルドな助手。
このキャラも個性が強くてなかなか面白いのですが、
その新鮮さが薄れないうちに謎のアルビノ少年や
未来と繋がっているPC、更に依頼人の死体が現れるなど
次から次へとイベントが発生してめっちゃ楽しいです。
このミステリーとSFとホラーが混じった雰囲気は
前作でも凄く気に入った部分なのでとても嬉しい。

そして最後にねね子が登場して次回が続くというお約束。
いや来るだろうと思ってましたけど、
電話越しとはいえ実際に登場されると嬉しいもんです。

正直、現時点でもめちゃくちゃ期待度は高めですが、
その期待を更に上回ってくれそうで今からドキワクですよ。
2020/05/05

『MECHANICA―うさぎと水星のバラッド―』 感想

DLsiteはこちら

同人サークル『Loser/s』さんの最新作である
『MECHANICA―うさぎと水星のバラッド―』の感想です。

物語の舞台となるのは遥か遠い未来の水星。
音楽を演奏しながら細々と生活する主人公は、
ある日、福引で超高性能メイドロボを当ててしまいます。

万能だけどプライド高めなメイドロボ・メカニカ。
彼女とのラブコメが始まると思いきや、突然崩壊する宇宙。
そのまま3日前に飛ばされた主人公とメカニカは、
最後の3日間を繰り返しながら宇宙崩壊の謎に迫ることに…。

このゲームを表す言葉は、SF、セクハラ、音楽ですね。
SFという面では未来の水星が舞台というだけでなく、
人間やめてそうな登場人物が多いという点でも面白い。
メイドロボでも高度な知性があると認められれば
人権が認められるという設定もワクワクします。

音楽で人の心を開いて手がかりを得るシステムも楽しい。
作中で使用されている楽曲は粒ぞろいですし、
脇役たちもそれぞれ重めの過去を背負っているので、
彼らの物語もSF短編としてなかなか読み応えがあります。
包丁ウサギのエピソードはめっちゃ寂しくて好き。
他はクトゥルフおじさんの存在も神話が
遠い未来でどうなってるか考えさせてくれて好き。

音楽を演奏するためにはメカニカにセクハラして
音楽パワーをゲットする必要があるというシステムは
いかにもエロゲー的ですが、メカニカの好感度に応じて
セクハラへの対応が変わるというのは良いですね。
セクハラもエッチシーンもあっさり気味ではあるのですが、
両方合わせるとかなりの数になり、恋人同士が
楽しんでイチャイチャしている雰囲気が伝わってきます。
ラストの盛り上がりも凄く、これまでの話が
音楽を通じて次々と繋がっていく演出は鳥肌ものでした。

惜しかったのはヒントが分かりにくいことと、
シーンや音楽を鑑賞するモードがないところですね。
シナリオはフローチャートで確認できるようにして、
そこでヒントやシーン回想もできるようになれば
もっと便利になったような気がします。


まとめ。
非情に気持ちのいいSFエロゲーでした。
主人公はダウナーだけどいい奴ですし、メカニカは可愛い。
退廃的な寂しさの中に暖かさを感じさせる雰囲気は
スチームパンクに通じるものがありますし、
宇宙の崩壊を止めるために平穏な日々を過ごすという
一見相反したテーマも見事に書ききったと思います。

同人ゲームですしボリューム的に小粒ではありますが、
大作ゲームに匹敵するカタルシスを得られる作品でした。
2019/02/11

『シロナガス島への帰還』 感想

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前々から自分の周囲でちらほらと話題になっていた
『シロナガス島への帰還』をプレイしてみました。

今回は久々に同人ゲームの感想となるのですが…
いやーめっちゃくちゃ面白かったですね!
内容としてはハードボイルドアドベンチャーという感じ。
孤島での殺人事件といったミステリー臭溢れる序盤から
謎が謎を呼ぶ中盤、そしてSF要素が混じってくる終盤まで、
一気にプレイさせてくれる良作でした。

まず何といっても主役コンビが良い。
ちょっと抜けてるけどタフでめげないおっさん・池田と、
完全記憶能力を持つコミュ障少女・ねね子のコンビが絶妙です。
基本的に話を転がしていくのはアクティブな池田で、
ねね子は基本的に泣き言ばかり言ってるのですが、
そんなねね子がここ一番で見せる踏ん張りが実に素晴らしい。
なんだかんだで池田に対してデレッデレなんだよなぁ。
彼女の本気が見られるDEAD ENDは必見ですよ。

そんなねね子の可愛さも素晴らしいんですけど
池田のタフさも凄いんですよね…いやホントなんなのレベル。
肉体的にも精神的にはタフだしこれは心強いわ。
どうやら過去に色々あったらしいですけど、
そこはぼかすのがハードボイルドな男ということでしょう。

ストーリーの方はというと完全な本格ミステリーではなく
普通に怪物とか出てきたりするのですが、
アドベンチャーゲームとしてみればめっちゃ面白いです。
推理ありアクションあり萌えありで非常に贅沢で満足度が高い。
特に後半の追い詰められっぷりはまさにホラー映画でした。

クリック操作による調査パートやギミック解除は懐かしい。
この手のシステムを触ったのは久々なのでワクワクしました。
難易度についてもほぼちょうどいいレベルだったのですが、
爆弾だけは最初の判定がシビアでちょっと難しかったですね。


まとめ。
これで500円は安過ぎる!
キャラ良しシナリオ良しなので2980円ぐらいなら出せます。
落ち着いた序盤からどんどん話を広げていく構成も見事ですし、
タイトル回収も「ここで来るかー」と感心させられました。
クリアした後の爽快感も見事で満足感も高く、
とりあえずプレイしてみろ!と言える良作だと思います。
これは是非とも続編を出して欲しいところですね。
2016/04/03

『アルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカ』 感想

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サークル『人工くらげ』のSFノベルゲームである
『アルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカ』の感想です。

タイトルのアルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカとは
3000の並行世界に存在する自分が一同に会し、
それぞれが作成したノベルゲームを発表する即売会の名前。
物語は主に3つの世界の自分の視点で進行し、
各々が部活モノ、東方二次創作、SF作品を作ることになります。

ここでシレッと東方二次創作が入っているところが
同人ゲームならではの展開であると同時に、
作中と現実が繋がっているようなリアルな感覚を与えてくれます。
東方だけでなく、現実にあるアニメやゲーム、声優の名前も
ガンガン出していけるのは同人ゲームの強みでしょう。

話のメインテーマは「物語を作る」ということ。
これだけだと単なる文学的な話になりがちなのですが、
それに並行世界を絡めてSF仕立てにしているのが面白いですね。
単なる並行世界だけでなく、過去や未来も絡んできますし、
物語を作らなかった世界も垣間見える点が話に厚みを与えています。
オタク要素を使った見せ方も上手く、歴代戦隊モノを並べ合って
どの時点で並行世界がズレ確かめる展開は胸が熱くなりました。

作中作が3本もあることも本作の特徴。
どの作品もなかなか興味を引かれる内容なのは当然として、
キャラをどこまで増やすかや二次創作でのオリキャラ投入など、
作り手としての判断を問われるネタも盛り込んでいます。
個人的には物語を纏め切れるなら何でもありだと思っていますが、
一般的には受けの悪いネタも数多くあるわけで、
そういうのを意識しつつどこまで自分が作りたいものを
作っていけるのかというのは、創作の永遠のテーマですね。

本作には機見さん、野々原、パル子という3人の女性が登場し、
視点も3つに分かれているのでてっきりギャルゲー的な
ヒロイン選択が発生するのかと思い込んでいたのですが、
どのルートでも野々原とくっついてたのは意外といえば意外。
まあ、ノベルゲームを作るというこの作品の目的を考えると
他の選択肢はかなり難しくなるわけですが、
これに関しては自分のギャルゲー脳を反省した次第。
もちろん、商業作品なら他の手段でノベルゲームを作る展開にして
話の幅を広げるのが常道ですが、同人作品でしかもフリーですし、
物語をコンパクトに纏めたのは適切だったと思います。


まとめ。
最初触ったときは「最高のノベルゲームを作る」作品なのかと
思っていたのですが、実際にはその手前の段階である
「作品を完成させる」ということについて考える作品でした。
この手の作品では業界の薀蓄が多くなることが多々ありますが、
本作ではそこを薄めにして、あくまで創作の心構えについて
SF要素を絡めて語るという点に注力していたのが良かったなと。

創作活動というものを真面目に考える作品として
良い刺激にはなりましたし、これから創作活動を考えている人や
未完成作品を抱えている人には是非触って欲しい作品です。
2014/10/14

『マヨイヒツジの果樹園』 感想

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マヨイヒツジの果樹園
Namaageさんの同人ゲームである
『マヨイヒツジの果樹園』をプレイしてみました。

主人公は自称・真面目系クズである山田一郎。
胡散臭い学園に教師として赴任した彼は美少女生徒に囲まれ
キャッキャウフフの教師ライフを送ることになるのですが、
もちろんそんな平和な生活が続くはずもなく…。

という感じで、ディストピア系アドベンチャーと
名乗っている通り、学園の真実が明かされる辺りから
少し厳しいめのSFへとシフトしていくのがこの作品です。

体験版の感触は良かったですし、完成版での雰囲気や
ラストのオチも綺麗でしんみりしてしまったものの、
プレイ時間自体は短いのでサクッと終わったのは惜しい。
作品構成はトゥルーエンド1つ、バッドエンド2つという
形になっているのですが、どのルートもボリュームは少なく、
個別ルート的なものを期待すると拍子抜けするかと。
男も女もいいキャラばかりだっただけに、
もう少し色んな展開が見たかった気はします。

同人ゲームとしてはごく当たり前のボリュームですが、
この当たり前から更に一歩抜け出せるかどうかが
作品の掘り下げにかかっていると言っても過言じゃない。
特にこの作品の場合は根幹の設定は面白いですし、
それを個別ルートで広げていたら…と考えてしまいます。
ミンサールートとかもっとグッチャリしてると
私好みのドロドロルートになったと思うんですけどね。
まあ、良くも悪くも小奇麗な作品なので
そういう方向へは進まない気はしていましたさ。

お気に入りキャラはマツリさんとミンサーかな。
どちらも一郎との関係性に気が利いてて好きです。
特にマツリさんとの関係はオチまで含めて完璧でした。
ミンサーは分岐以降でもう少しグダグダやって欲しかった。
逆にキャセはキーパーソンではあるんですけど、
本編での活躍自体はそれほどでもなかったのが残念です。
マツリさんに食われてしまった感が強い。


まとめ。
サクッと読めるSF短編ノベルという感じ。
舞台に隠された真実からラストの捻り方まで
王道な感じで作っているだけに先は読めるのですが、
綺麗に纏まっているので読後感はスッキリしたものです。

もう一回りボリュームが大きければ…と思うのは
それだけ自分がこの作品を気に入っているからですね。
体験版のノリが合っていて、短編でも満足できる人なら、
サクッとDL購入してみるのもよろしいかと思います。