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『道徳の時間』呉勝浩 感想
道徳の時間
道徳の時間
posted with amazlet at 16.12.02
呉 勝浩
講談社
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第61回江戸川乱歩賞受賞作。

かつて講演会で300人が見守る中に起こった刺殺事件。
犯人は「道徳の問題」と言ったまま口を閉ざし13年後、
この事件のドキュメンタリー映画が撮られることに。
カメラマンとして撮影に参加した伏見は
撮影を続けるうちに監督の行動に不信感を持ちはじめ…。

まず設定が非常に魅力的ですね。
果たして300人の目撃者は本当にナイフを見たのか。
被害者と加害者、目撃者の本当の関係とは。
映画の撮影は冤罪を匂わせながら進むのですが、
あからさま過ぎてそれが真相ではないのは分かる。
しかしそれならこの物語に隠されているものは何なのか。
という不気味さにグイグイ引き込まれました。

ドキュメンタリー映画の撮影という手法も
通常のミステリーの捜査パートとは一味違っています。
自分の想像通りの絵を撮りたいという欲望と
事実を明らかにしたいという欲望に挟まれ足掻くのは
ジャーナリストという立場ならではのもの。

ここで問題となってくるのが「道徳」ですね。
芸術のためにどこまで無茶をできるかというぐらいなら
まだ分かりやすいですが、更に正義を行うために
人としての道を踏み外すとなると答えは迷宮入りに。
この作品の主要人物はそれぞれが譲れないもののために
暴走といっていいほどの無茶をしてしまうわけですが、
それに対して法ではなく個人として許せるか許せないか、
その基準になるのが道徳ということなんでしょうか。
作中の子供ですら持っていた自分個人としての行動基準を
いい大人である自分が持っているかというと…。

単に道徳を守るというだけではなく、自分だったら
どういう状況ならそれを踏み越えられるかというところまで
考えさせられる作品だったと思います。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第34話 感想
『ヴィダール立つ』

すっかり三日月の舎弟と化しているハッシュ君。
三日月に邪険にされても懐いてるのがとても可愛いです。
農場の墓標…果たして今後どれだけの名前が刻まれるのか。
一方、ヴィダールのガンダムがついに完成。
しかしラスタルは今日はよく喋るって言ってますけど、
いつも結構喋ってるよねヴィダールさん…。

地球組が合流した鉄華団。
着々と戦力は増強されているものの、
それはつまり今後より激戦に巻き込まれるということ。
新しいガンダムはどう見ても悪役面ですが、
バルバトスやグシオンも結構いかついから問題ないか。

マクギリスの依頼を受けた鉄華団ですが、
親であるテイワズでは賛否両論。
特にナンバー2であるジャスレイは強行に反対。
ひとまず名瀬が責任を取るということで
その場は治めたものの、このまま済むはずがない。
場合によっては鉄華団とタービンズが敵対する可能性も…。

ハッシュほんとに三日月好きだなぁ。
これが三日月にとっていい方向に働けばいいけど。
しかしおやっさんとメリビットさんが付き合うとはなぁ。
いきなり知らされたチャドの驚きも分かる。
一方でクーデリアやオルガも地固めに動いています。
敵が動く前に地盤を固めるのはいいですけど、
鉄華団の事務は大丈夫なのか非常に気になるところ。

イオク様、雑魚に苦戦するの巻き。
この人ガチであかんのか…そらジュリエッタも呆れるわ。
そしてついにヴィダールが出陣。
初回に相応しい圧倒的な強さで勝利を飾りました。
ジュリエッタが惚れるのも仕方ない華麗な戦いっぷり。
ガエなんとかさんよりかなり洗練されてますな。

そして最後のマクギリスの思想の話。
言ってることはいいんだけど
状況のせいでロリコン万歳な世界の話にしか思えない。
なんてオタクに優しい世界なんだ…。

ヴィダールも動き出してようやく役者が揃ったかな。
これから更に状況が複雑に動いていきそうですが、
次回もイオク様の活躍が見られそうで楽しみです。

テーマ:機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ - ジャンル:アニメ・コミック

2016年11月25日のお買い物
今月の獲物はこちら。
スキとスキとでサンカク恋愛
ASa Projectの最新作である
『スキとスキとでサンカク恋愛』を買ってきました。

個人的にギャグゲーは結構好きなんですけど
今までASaのゲームはちとクド過ぎて回避していたのですが、
今回は体験版との相性が非常に良かったので購入。
いつものASaよりは控えめなノリですが
自分としてはこれぐらいがちょうどいいのです。

あと、妹(ツインテ)がめっちゃ好みだったですよね。
基本的には兄に対してお馬鹿なノリで接しつつ、
ところどころで繊細そうな一面を見せるのがツボでした。
ここ最近、ストライクな妹キャラがいなかったのですが、
この作品には久し振りに大きな期待を寄せています。

さて、12月ですが、これがなかなかの激戦区。
今のところ『あきゆめくくる』がひとつ抜けてきますが、
『シンソウノイズ』や『仄暗き時の果てより』も良さげですし、
他にもまだ見ぬ良作が隠れてそうな気もします。
基本的に年末はあまり固まらないイメージだったんですけど、
そういう意味で今年は珍しい年なのかもしれません。

テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎 感想
フィッシュストーリー (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
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伊坂さんらしい4本の短編が詰まった短編集。
フィッシュストーリー、ポテチは映画視聴済みです。

動物園のエンジンは青春物と言っていいのだろうか。
井坂さんの青春物といえばつい最近砂漠を読みましたけど、
動物園の方は戻れない過去を思い出す感じが切ないです。
ただ、今となってはもう会えない友人たちとの
過去の思い出に浸るというシチュ自体は結構好きです。

サクリファイスはドロドロした話なのに爽やか。
寂れた村の陰鬱な風習の話と見せかけて
実は変わらない友情の物語だったのは爽快でした。
こういうどんでん返しは伊坂さんお得意の展開ですね。
メルヘンに見せかけて切ない話だった動物園とは反対です。
しかし黒澤さんは語り手として安心できますね。

フィッシュストーリーは悪くないんですけど、
映画の出来が素晴らしかったので地味に感じました。
とはいえ、決してこの原作が悪いという訳ではなく
それぞれの時代の話を映画栄えするように
派手に改変した映画スタッフが見事だったということ。
コンピューターに潜む重大なバグを直すよりも、
隕石を木っ端微塵にする方が派手なのは当たり前なのです。
ホント何度でも見たくなる映画でした。

ポテチはほぼ映画のままでしたね。
こちらはむしろ小ぢんまりした雰囲気のお話ですし、
フィッシュみたいに壮大にしなかったのは正解でしょう。
重力ピエロに通じる切ない爽快感が感じられる作品でした。

4本の中で一番好きなのはサクリファイスかなー。
ちょっと捻った男の友情のあり方がとても素敵。
あの二人が全部墓場まで持って行くと思うと寂しいですが、
それ以上に「参った」という感情の方が大きい。
こういう人間の感情の解釈が反転する作品には弱いのです。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

『仄暗き時の果てより』体験版 感想
公式はこちら

えっちな作品からシリアスな作品まで手がけている
MOON STONEの新作『仄暗き時の果てより』を体験してみました。

探偵助手として故郷である島に帰省した主人公は
上司である女性探偵と過去の事件について調べ始めたものの、
奇妙な化け物に襲われたり刀を持つ女の子に助けられたり
いかにもラノベちっくな展開に巻き込まれていくことに…
と思ったら、いきなりゾンビが大量発生してみんな死んだ!
しかも島に着く直前までループした!!

…という感じですが、いやはや、前半は静かでしたけど、
後半は一転して疾風怒濤の展開でしたね。
ゾンビが出てからのパニックホラーは一見の価値あり。
逃げ回っているうちに親しい人間が次々と犠牲になる流れは
先が分かっていてもドキドキしながら読んでいました。
やっぱり身内がゾンビ化すると危機感が違います。
エロゲーなのにヒロインよりもゾンビの方が
目立っているところも製作陣の気合が伝わってきました。

一度バッドエンドを迎えてからのループというのは
よくある流れですけど、1周目はかなり酷い終わり方でしたし、
謎もほとんど明かされていないだけに続きが気になります。
かつて主人公の恋人が殺された事件や奇妙な化け物の出現、
そして島民が次々とゾンビ化した理由など、謎がてんこ盛り。
雑に予測するならかつてゾンビ化した恋人を
刀を持った何者かが殺したんでしょうけど…はてさて。


まとめ。
なかなか気合の入ったホラー作品でした。
エロウイルスでのパンデミックとかならともかく、
本気でゾンビ祭りを描写してくるエロゲーは珍しいのでは。
謎のばら撒き具合や話のテンポも良かったですし、
なかなか先が気になる体験版になっていたと思います。
展開の激しさに比べてヒロインの印象が薄い感はありますが、
そこは7800円と少しお安い値段でカバーかな。

既に12月は候補がいっぱいなので手は出せませんが、
延期が重なったりしたら購入するかもしれません。