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『スタープレイヤー』恒川光太郎 感想
スタープレイヤー (角川ebook)
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巷では異世界召喚物がブームですが
この作品も異世界召喚物といえばそうなんでしょう。
与えられるのは10回だけ願いを叶えることができる謎の板。
この板を渡されスタープレイヤーとなった女性・夕月が
いかにして生きていくかを描いたのが本作となります。

こういう異世界召喚物だとまず衣食住が問題になりますが、
そこをあっさり願いで解決してしまうのは新鮮でした。
しかしいきなり数キロ単位の庭園を作るというのは
願いの万能感を出すにはいい展開かもしれません。

「豪邸と食料」というようにセットで願うと
1カウントしかされないというのも面白いです。
いくらでもセットに出来るのは一見すると便利ですが、
限界まで詰め込むせいで下準備に時間がかかるのは困り物。
自分だったらこの設定があるせいで咄嗟の事態でも
使い惜しみしてしまうかもしれません。

ファンタジックな雰囲気や能力の大きさに反して、
序盤がドロドロした展開なのも掴みの上手さでしょう。
かつて自分を襲った相手を召喚して監禁するとか、
召喚設定をこういう生かし方する作品は初めて見た気がする。
後半の対国家戦も面白かったですけど、
序盤のヒリヒリした感じは独特な雰囲気がありましたね。

とはいえその序盤があったおかげで
後半の主人公の成長も実感できましたし、
最後も爽快な雰囲気なので読後感も良かったです。
何でも叶えられる力の「何でも」という可能性について、
改めて考えさせてくれる作品でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

『BLADE×BULLET 金輪のソレイユ』体験版 感想
公式はこちら。
SkyFish 最新作『BLADE×BULLET 金輪のソレイユ』を応援しています!!
SkyFishのヴァルキリーシリーズの新作である
『金輪のソレイユ』を体験してみました。

今回は初っ端から人類が滅亡寸前ということもあって、
話の方もシリアス成分多めなバランスでしたね。
7人の戦乙女が最後の一人になるまで潰し合うというのは
今となっては特に目新しくない設定とはいえ、
やりようによってはいくらでも面白くなりそうです。

ただ、その方法が1戦ごとに対戦相手が決められる
タイマン方式っぽいのは微妙に感じました。
この手のバトロワ系の話でいつ仕掛けるか、
誰と手を組むかといった駆け引きが使えないのは惜しい。
このルールだと多人数バトルがなさそうなのも残念ですね。
もっとも、この手のルールが破られるのもお約束ですし、
今後の展開次第では化けるかもしれませんが。

キャラとして一番面白かったのは主人公。
丁寧語で飄々としてて快楽主義的な面がありながらも
非道過ぎる真似はしないという性格は
脇役の強キャラでは結構見るのですが、
主人公として使っているのは珍しい気がします。
相方のレギンレイブは真面目でおバカですが、
主人公との相性はなかなか良いのではないでしょうか。

他のヒロインについては今のところ
ヒロインというよりは脇役という印象が強いです。
これはストーリー重視で各自の萌えシーンが少ない弊害か。
ヨルはビジュアル的にも性格的にも好みですけど
体験版では人間モードが一瞬しか出ないのが残念。
まあそういう萌えシーンの代わりに
鬼畜エロシーンをぶっ込んで来るところが
いつものソレイユシリーズらしさではあるのですが…。


まとめ。
体験版はサクサク進めましたしそこそこ面白かったのですが、
フルプライスで買うとなると躊躇する感じですね。
ヒロインはレギンレイブ一強状態ですし、
話も先が気になって仕方がないほどのパワーはないです。
もう一歩、ヒロインの魅力を高めるか
話の爆発力を高めるかすれば購入候補に入るのですが…。
自分の中でSkyFishは毎回これぐらいの位置ですね。

テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

『家康の遺言』仁志耕一郎 感想
家康の遺言
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時代の主役が豊臣から徳川へ移り変わる流れを
5人の人物の視点で描いた短編小説集なのですが…
うーん、個人的にはちょっと微妙だったかな。
どの話も愚痴っぽい雰囲気が多めで乗り切れなかったです。

裏切り者の石川数正の話では数正が裏切ったのは
徳川延命のためという筋書きで話が進むのですが、
この設定自体は特に目新しいものはないですし、
そのまま縁の下の力持ちのまま終わってしまったせいで
読者としてはスッキリできなかったですね。

鳥居元忠の話と渡辺半蔵の話は
タイプの違う忠義者の話という感じで面白かったです。
特に渡辺半蔵の話は戦しか知らなかった武骨者が
遅咲きながらも人間として成長していき、
最後にはそれが報われる話なので後味もいい。

しかし千姫の話は定番の大阪城落城の悲劇物語で、
山場である淀君との仲直りもあっさりとした描写。
ラストの家康の物語は今まで滅ぼした相手が
次々と夢に現れるというこれまた定番のお話ですが、
死を目前にしている家康の立場もあって
どうしても嫌な感じの憂鬱さが漂ってしまいます。
最後は救いがあったものの、作品全体に漂う
末期的な雰囲気を払拭するところまではいきませんでした。

暗い雰囲気にするならいっそのこと予想を超えるぐらいの
奈落が見たかったですし、そうでないなら全体的に
もう少しポジティブな雰囲気な方が好みです。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

『影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録』葉室麟  感想
影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録
葉室 麟
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伊東甲子太郎とともに新撰組を脱退した篠原泰之進の物語。
篠原泰之進といえばかの司馬遼太郎さんも一作書いていますが、
どちらも油小路の戦いが一番盛り上がるところは同じですね。
ただ、ハードカバーとしては若干薄めということもあって、
内容の方もちょっと薄くかんじられる部分がありました。

篠原という人物を掘り下げるために萩野という女性や
斎藤一を配置したのは分かりやすい作りです。
特に斎藤の飄々としたキャラクターは面白く、
敵か味方か分からない立ち位置もあって
物語の緊張感を出すのに良い働きを見せてくれました。
いつでも自分の興味を最優先する好きな変人でありながら、
非道な振る舞いは見せないところに好感が持てます。

しかし他の新撰組のメンバーの描写はかなり薄かったです。
己の野心を貫くラスボス、近藤はまだマシですが、
土方や沖田は三流悪役程度の描写しかされてません。
永倉なんかは近藤や土方の暗殺主義に反感を持ちつつも
彼らを見捨てられず付き合ってる感じでしたけど、
そこら辺の複雑さももっと描写して欲しかったところ。

伊東甲子太郎も普通の優等生という感じで
組織の首領としてのカリスマは少なかったなー。
まあこれについては主人公である篠原が有能なので
その反動として活躍できなかった面もあるかもしれません。

篠原が主人公という発想は面白かったのですが、
どうせなら他の人物ももっと掘り下げて新撰組内部の
ゴタゴタをもっと魅力あるものにして欲しかったところです。
完全に悪役な近藤や割と小物な坂本龍馬は新鮮でしたけどね。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

ホンダ・フィットハイブリッド 試乗感想
最近ビッグMCが入ったばかりのフィットに試乗してきました。
グレードは最上級のHYBRID・S、HondaSENSINGとなります。

フィットといえば走りや燃費や使い勝手といったものの
バランスが非常に良い優等生…だったはずが、
3代目発売当初のリコール連発によってその信頼は失墜。
アクアやノートという強力なライバルの存在もあって
最近は存在感が薄れつつあるというのが悩みどころ。
ホンダもこの現状を深刻に捉えていたようで、
今回はかなり気合の入ったMCを実行してきたようです。

MCだけあって外装や内装は別物というほどではないものの、
外装に関しては大きなダクトがなくなったおかげで
シャープで踏ん張り感が出ているのが好印象です。
RSやSパケのバンパーは写真だと顎が出て見えたのですが、
実物だと引き締まった表情で受ける印象が違いました。
あとはサイドのラインがなくなれば個人的には文句なしかな。
センシング搭載車のメーター表示も見やすかった。
コンパクトカーでもカラー液晶が当たり前の時代ですね。

ただ、ステアリングが革巻きでも細かったり
センターアームレストが低かったりと、
運転席での収まりの悪さを感じる部分もありました。
センターコンソールが左脛に当たると痛いのもマイナス。
いずれも細かい部分ですが、惜しいと思います。

一方、走りに関しては手堅い進歩が感じられました。
リコールが多発したDCTは完全に別のものになったようで、
低速での加減速を繰り返してもギクシャクは全くなし。
ダイレクト感があるのにCVTのような滑らかさです。
あとは一般で使われて不具合報告がどれだけ出るかだなー。
試乗だけでは分からないことも多いですしね。

乗り心地に関しては前期型よりだいぶガッシリした印象。
全体的に静かになりましたし、段差で跳ねる挙動や
細かい振動、騒音も抑えられていて快適性は上がっています。
今までのフィットはここらへんが甘い印象でしたけど、
他と比べて負けていないレベルになりました。

気になったのはステアリングの軽さとブレーキの感触。
ステアリングは低速でももう少し手応えがあった方がいいです。
ブレーキは前期型もそうだったんですけどひたすら硬い。
もうちょいガソリン車っぽいフィーリングが欲しいですよね。


まとめ。
度重なるリーコールで傷付いたフィットブランドですが、
今回のMCによってコンパクトカーでトップクラスといえる
総合力を持つ車に生まれ変わったのではないでしょうか。
安全装備だけでなくACCやレーンキープといった便利装備まで
充実していますし、乗り心地もかなり快適になっています。

ただ、前期型でのイメージダウンを考えると、
トップクラスではなくトップを目指して欲しかった気も。
今回同乗したセールスさんも言ってましたけど
やはりかつてのリコール連発の印象は厳しいようで、
特にオーナーさんからはまだ責められることが多いとのこと。
自分だって新バージョンのDCTは大丈夫だと言われても
しばらく様子見しようと躊躇してしまいますしね。

とはいえ最近の影の薄さを吹き飛ばす内容のMCでしたし、
保有してみたいと思わせてくれる車になったのも確か。
今後は新型オーナーさんの感想を要チェックですね。

テーマ:新車・ニューモデル - ジャンル:車・バイク